世界最大のドッグショー Crufts 2019

毎年3月に行われるCruftsドッグショー(開催地イギリスバーミンガム)
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(♬ 設置されたモニュメント前で 記念写真)

Cruftsは130年近い歴史を持ったドッグショーです。

イギリス人のチャールズ・クラフト氏によってはじめられ、敬意を表して彼の名前である「クラフト」を受継いで、1891年から正式な「クラフト」が始まったそうです。

イギリスから始まったドックショーですが、今では世界各国で名称は違いますが開催されています。

 
イギリスでは国民的行事でもあるクラフト展ですが、会期中は会場に来れない人のためにTV中継されるほどです。2019年は23万人が来場エントリーした犬の数は、3万頭以上。
TV中継では人が見れない意外な角度からの撮影や見逃したショットまでも楽しめます。
ますますCruftsが年齢層も幅広く国民に身近な行事となっています。
 
(広い会場はとても1日では回りきれないです。写真はShow Guideに掲載されている会場図でこのほかにアリーナ会場とHall3があります)

Cruftsの会場は、大型のホール会場が5つ、このほかにアリーナ会場もあり、とても広くて1日で、すべてを見ることはほぼ不可能でしょう。
5つあるホールでは、全部で32リングあり各犬種が競い合います。

リング内の犬たち
(写真は小型犬ばかりですが、Ring上では品種ジャッジされるもののほかにアクティビティや警察犬などのデモンストレーションもあります)

品種を競うことはもちろんですが、オビディエンス、グッドシチズン、アジリティ、ガンドッグ、ドッグダンス、フライボール、サーチ競技など多岐にわたり、日本ではなかなか見ないようなものが4日間で競い楽しまれます。
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(写真のように鼻を使う競技もあります。品種だけの優劣のジャッジをするだけでなく、犬本来の特技が楽しみながら競えるのがCruftsでもあります。)

日本ではまだまだ一般的ではないセラピードッグの存在、海外では飼い主さんの心をサポートするためにたくさんのペットが大活躍しています。

Cruftsの会場内では、セラピーペットとして、スタッフと同様に、お仕事を持っている犬が、一目でわかるようにベストを着用しているんです。
日本ではセラピードッグ=大型犬というイメージを持つ方も多いかと思いますが、海外ではいろんな小型犬種が人を癒やすために働いてくれています。

飼い主をサポートする犬
(黄色のベストには、セラーピーペットであることが記載されています。海外では特別な訓練を受けて、人の心をサポートしてくれています。このワンコさんたちをEmothional Dogとも言います)

日本と同様に比較的大きな犬関連会社が集まる巨大ホールがあり、会場内には素敵なカフェテリアもあります。

各ホールのリング以外の場所には犬舎ブース、中小規模の犬関連グッズを取り扱うお店があり、市場に出回っていない目新しい商品もあり、ショップ経営者も一般飼い主の買い物客も大いに楽しめるのです。

犬関連ブースは、フードメーカーやおやつなどのブースにとどまらず、各犬種のケンネルクラブ、しつけ関連のブースなど様々です。

このようなショップリストの充実度はさすが世界一。

(フードコートに企業の出店、犬種クラブの出店などもあります。)

日本では、ドッグショーと言えば一部のブリーダーが参加するものという認識も多いですが、イギリスでは、一般の飼い主さんも一定の基準をパスできたらエントリーが可能になるので、自分の愛犬とともに参加してドッグショーを楽しんでいます。

そのせいなのか?飼い主も想定外の予期せぬハプニングが必ずあり、目が話せません。
そんな事が起きると会場内はどっと賑わいます。

スタンダード競う
(スタンダードを競うには犬種保全では必要なこと。それをブリーダーだけでなく一般の飼い主さんも考える機会になっている。)

ドッグショーで一つの規律あるゴールを目指して、犬と飼い主が集まる一つの社交場としての機能を持たせているのだと思います。

寝食をともにしている自分の犬が評価されることは、飼い主にとっても誇れるものであると同時に飼い主自身の次回の目標(希望)にもなっているのも確かです。

犬との生活が身近にあったヨーロッパの人たちと犬とのコミュニケーション、そこからの楽しみに取り組むことが、とても自然出来上がった、それらが歴史あるイギリス発祥の所以と思えます。

犬を学び思う
(イギリスでは早くから親が犬との付き合い方を教えたりして犬との絆つくりをします、歴代の飼い主(高齢者)の方が愛犬とともに現役参加で世代問わず、現地では盛大に年中行事として楽しまれています。)

参加犬種は、純血種だけでなく、最近ではミックスブリード(雑種)もあり、年齢はパピーからシニアまで犬種や年齢問わず楽しまれていることも素晴らしいですね。
なによりも、レスキューされた犬たちもこの晴れ舞台に立っているということ。

犬と人が出会う
(ここで家族に迎えられることもあります。出会い、そこには、すばらしい純血種、そして愛情たっぷりの生活を送っていたワンコさんもいます。)

何らかの理由によりレスキューされた犬たちが次の飼い主さんとの出会いを求めて、ここCruftsに来て最高の出会い、素晴らしい飼い主さんとの犬生をもとめています。

ヨーロッパではとくにSPCAの歴史も規模も大きくしっかりしていて、里親探しは、日本のような悲壮感はないですし、明るく盛んです。

そして、ここCruftsという犬と飼い主さんの登竜門、社交界デビューの場で、電撃出会いもあるなんて、まるでシンデレラ?ストーリーのような素敵な出会い?・・・もある。

引き取る飼い主さんもレスキューされた犬だという悲壮感はなく、新しい家族として迎え、日々の人生を一緒に楽しめるのです。

レスキュー段階で、病気・虐待された生活の有無、その後の予防接種、その健康状態も良好にし、問題行動のないストレスケア済の状態での里親への引き渡しを行うので里親たちは安心して引取・・・ここまでにかかった費用は引取時に新飼い主さんが支払うシステム、犬のサイズ別に合計金額が決まっています。
日本も早くこうなればいいですね。

そして、日本ではあまり耳にしない、「Young Kennel Club」という存在も実に面白い。

6~24歳の犬好きで構成されるイギリスでは大きなKid’s Clubと書かれていました。

子供の時から犬とCruftsを楽しんでいる。もっともそれがあるからCruftsが身近なのでしょうね。
また、子供の時から犬との付き合い方が学べる、日々、自然体で犬との距離を身につけることができることも羨ましいほどに素晴らしい仕組みですね。
このYKCを応援できる仕組みまで出来上がっているってとても素晴らしいですね。
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(子供もリングでショーを楽しんでいます。顔は隠しちゃいましたけどとっても可愛い女の子でした♪ 犬が身近だからこそ犬とどのように接するのが良いかを知っているのですね。)

色々なブースがある中で犬たちの健康やウェルフェアに関することを発信するブースがあったり、犬たちと飼い主さんの関係について健全であるように啓発、啓蒙するブースがあり、犬を犬として、一つの命として扱うことがCruftsで取り上げ、徹底されていることに当然なことなのに、なぜか感心もして驚きました。

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(この写真はフレブルの鼻の穴の形状や、馬尾症候群についての危険性について写真付きで解説しています。犬種の容姿ばかりを追い求めた結果、犬たちを苦しめていること、そのブリーダーたちへの啓発ですが、買い求める買主側へも同時に警告を促しています。)

飼い主も犬への知識を深めてから家族として熟慮してから、ブリーダーのもとに通い、自然体で生まれる仔犬を待ち、更に母犬、兄弟犬との暮らしを経て、乳離れ後に、飼い主の家族として迎える。。。

その間探し求めるまで半年から1年以上も計画して飼い主は犬を家族の一員として探し求め、最終的に家族ぐるみで面会してから仔犬を迎えるのがヨーロッパの定番の常識のルール。

現状の日本とは違いショーウィンドウ越しの犬の命の個体(生体)販売が無い事は、進んでいる国として日本も見習いたい。

そして犬との暮らしの中で、ささやかな目標を持って、犬との楽しい暮らしを素晴らしい目標にしてほしい。
そんな犬の世界が築けているイギリスの犬たちの祭典がCrufuts Dog Show

これは日本でも買い求める側の、飼い主が知識をつけて、早く気がついて、ほしい部分です

(ブリーダーさんは劣性遺伝を繁殖しない、「健康血統」を推奨してほしい。私達、社)H.P.O.T.Wの願いです。)

4日間で、巨大なCruftsのホールすべてを見て回ることができないので、改めてショーガイドを見ると新たな発見があり楽しめます。

Cruftsは犬と人がお互いに、協調(共調)して築き、その協力のもとに、なし得た結果を発表する場であり、犬のすばらしさを改めて感じる場所であると思います。

犬を迎える人たちが、犬の姿かたちだけでなく、犬と一緒に日々暮らす楽しみ、その生活の結果を年に一度、楽しく発表するのがCruftsのひとつの意義なのですね。

— 2019/8/1